そういえば上々颱風だった
某所でのBEGIN談義に始まり、いくつか島唄関係のCDを紹介したのがきっかけで、「おすすめ島唄CD」 なるカテゴリーを作ってしまった。しかし本カテゴリーの記念すべき初エントリーである本記事では、おすすめ島唄CDを紹介しない(ぉぃぉぃ) 。
今でこそ音楽を中心に沖縄(八重山その他の地方も含む)に深くハマッている私だが、そもそもの発端は何だったのかというと、たぶん、 サイパンのビーチで聴いた上々颱風の音楽だったのである。
その夏、休暇をとって同僚とサイパンに行くことにした私は、旅先で聴くために数本のカセットテープを選んだ。そう、iPodはおろか、 MDさえまだない時代だ。
「やー、ビーチでしょ。気分は西海岸でしょ。やっぱThe Beach Boys持って行かないと!」と、1本はすんなり決定 (ちなみにEndless Summerというベスト盤)。他に何を持って行くか悩んだ末に採用されたのが、 上々颱風のファーストアルバムだった。当時私が勤務していた会社はライブハウスの運営もやっていて、 そこの企画に上々颱風なるバンドが登場していたので、ちょっと興味があってCDを買ってあったのである。 買ったのが休暇直前だったこともあって、テープにダビングしただけでまともには聴いていなかったように記憶している。
さて、サイパンに行っても何をやるでもなく、ホテルに隣接するスーパーで6缶パックのビールを買って、 延々とテープを聴きながらビーチで飲んだくれているだけの日々だったのだが、悲しいことに、せっかく持って行ったThe Beach Boysは確か1~2回しか聴かなかった。
全然雰囲気が合わなかったのである。サイパンは西海岸ではなかった(あたりまえだよ)。サイパンの空気は、何というか、 完全にアジアだったのだ(その後行っていないから、今行ったら別のことを感じる可能性は高いけど)。
で、代わりに大活躍したのが上々颱風のテープである。もう、延々とオートリピート。こんなに気持ちのいい音楽があるものかと思った。
帰ってきてから、私は彼らのライブに足繁く通うようになった。たぶん、何年かそれが続いたはずだ。 メジャーデビューしたばかりの頃の彼らは沖縄からの影響を強く受け、メンバーのなかに沖縄出身者はいないものの、 準沖縄系のような位置づけを与えられていたように思う。リーダーの紅龍が弾くのは三弦バンジョーだったし (彼が影響を受けたミュージシャンとして名を挙げていたのが照屋林助ではなかったか)、ライブではよく「安里屋ゆんた」も歌われた。 セカンドアルバムのタイトル曲は航空会社の沖縄キャンペーンCMでも採用されていた。そんなわけで、 上々颱風を追いかけていた私が沖縄っぽい音に惹かれるようになったのも自然な成り行きだった。
その後、彼らの音楽からは沖縄色はどんどん薄らいでいき、もう少し幅広くJapanese/Asian Nativeとでも言うべき音楽になっていったように記憶している。それが嫌だったわけではないのだけど、反対に私は、 徐々にもっとディープな沖縄音楽の方に惹かれていった。最初はりんけんバンドとかネーネーズを聴いて、 「あ~これはオレにはちょっと濃すぎるな」などと思って上々颱風に回帰したりしていたのだけど、唄三線にハマってしばらく経った後、 久しぶり彼らのCDを聴いたら、妙に人工的な音のように感じて、すぐに聴くのをやめてしまった。
こんなカテゴリーを作るにあたって(といってもいくつ記事を書くかは分からないけど)、ふとそんなことを思い出した。 日頃通っている飲み屋が彼らに触発された店名をつけている(ロゴも似ている)のも何かの縁だし(メンバーもたまに来るらしい)、 メジャーデビュー前に彼らがホームグラウンドとしていたライブハウスも近所にある。久々に上々颱風も聴いてみるかな……。
