先日の「辺野古に行って、考えた」にいただいたコメントのなかに、
何でもかんでも「市民運動」がイヤ、「市民運動」はバカにしてもいい、そんな人たちがこんなにたくさん登場するようになるなんて、 当時は思ってもいませんでした。
という一文があった。実際、私がよく読んでいるウェブログにも、誠実真摯な思索に対して、 知性のかけらも感じられない罵声をぶつける類のコメントが膨大に寄せられているのを見ることがある。
で、上の一文を目にして、ふと思い出したことがある。「グロい」という形容詞だ。
私が在籍していたがっこうには「学生自治」なる概念があった。最近はキャンパスを訪れていないので今でもあるのかどうかは知らない。 学内にはちっぽけな博物館みたいな施設もあったから、そのへんにでも飾られているかもしれない。
その名の通り「学生自治会」なるものあったし、サークル連合的な存在もあった(サークル活動の支援・振興が本来の趣旨だと思うのだが、 それにこじつけて?「学生自治」的な活動もやっていた)。学生寮の自治委員会もあったし、季節によっては学園祭の実行委員会や、 新入生への自主オリエンテーションを司る委員会も設置されて、そのへんには「学生自治」を振りかざすのではない、 イベントやプロジェクトを仕切るのが好きな輩もいて、「学生自治」な連中からは「官僚的」などと揶揄されていた。
時代が時代だから、もう「学生運動」なんてものは衰退しきっていて、学生自治の仮想敵(?)は、大きな社会権力というよりは、 せいぜい「学部当局」だったり、あるいは当時問題になっていた勝共連合・原理研だったりした。で、そういう「学生自治」の旗印 (旗はなかったけど)に共感して集まる学生のことを、「グロい」と表現していた。
元々はグロテスクの意味だったかもしれないけど、そこまで露骨なニュアンスはなかったように思う。 そういう活動に関心を示さない学生が、他称的に「グロい」と表現していたかもしれないし、そういう活動に携わる学生がいくぶん自虐的に 「グロい」という言葉を使っていたような気もする。
対義語があったとすれば「一般学生」だろうか。使う立場によって、「グロい」学生を特殊視する眼差しを含んだ言葉でもあり、 「一般学生」に対する意識的/無意識的な優越感を含んだ言葉でもあったろう(政治家・官僚が「国民」と言うときのように)。しかし、 どちらかといえば後者の意味で、つまり「グロい」学生がそうでない学生を指して使う言葉であって、「一般学生」 が自らのことをそう呼ぶことは稀であったような気がする。というのは、彼らはそういう言葉が登場するような議論に姿を現すことはないから。
なんでこんなことをあれこれ思い出したのかというと、たぶん、「運動」的なものを嫌悪するとか、冷笑するような態度というのは、
もうずっと前からあるのだし、そういえば私自身もそれを感じていたよなぁということなのだ(ということはつまり、私も、
少なくともある時期には「グロい」学生だったということなのだけど)。
コメント (3)
「グロい」という言葉は初めて聞きました。
私が行っていた大学では「学生自治会」とは名ばかり、その実態はとある有名な左翼組織(共産党系ではない)でした。
年に何回か、学生会館と呼ばれる自治会室に公安が踏み込んで来るという状態で、私のような無思想な学生は「運動」的なものをバカにする余裕はなく、はっきり言って怖い存在でした。
>たぶん、「運動」的なものを嫌悪するとか、冷笑するような態度というのは、もうずっと前からあるのだし
という前フリとは無関係に、これは確かにありましたね。
私にも、あった、というか、今でもある、と思っています。
その思いを匿名で発言できる場=ネットが登場したことで、目立つようになっただけなのかもしれない。
と思う一方で、その質が少し変化してきているようにも感じています。
「運動」といっても、環境保護、平和運動、男女平等社会実現に向けた運動、共産主義国家樹立のための運動、などなどいろいろな種類があります。
私は、それぞれについて「こいつはちょっと、なんだかなあ」と思ったり「これは応援したい」と思ったり「趣旨には賛同できるが、やり方が変」と思ったりするのですが、そういった個別の判断をせず、「運動」と十把一絡げにしてバカにする動き。
そういう思考停止的な一団が(昔もいたのでしょうが)増えている気がして、イヤーな気分です。
あ、私は結局、「運動嫌い」よりも「思考停止」がイヤなのかも。
投稿者: gegenga | 2005年03月14日 16:51
日時: 2005年03月14日 16:51
なんとなくgegengaさんが通われていた学校の名前が浮かんだりもします……国公立ならY……それ以外ならH……とか(笑)
私が在籍していたところでは、入学当初はノンセクトラジカルと称する無党派左翼(?)の面々が「政権」を握っていたのですが、結局その後、共産党系(民青)に明け渡しました……。
投稿者: yamabetoyomu | 2005年03月15日 14:37
日時: 2005年03月15日 14:37
なんか、今ごろのコメントで、すみません。
「グロい」わかります。使ってました。
っていうか、「山辺さんって、私と同じ大学?」って思うくらい、状況が似てます。同じですといってしまいたいくらい。
うん、確かにそういう言葉はあったけど、それって「関係ないよ」「あの人たちはちょっと別」くらいの距離感で、攻撃するようなものではなかったようにも思います。
今のは、怨念みたいなのが噴出している感じです。
私が思うのは、私にとって体制とは「右」だったんだけど、
彼らにとっては体制とは学校の先生に代表されていて「左」なんだなということです。
自分たちに敵対する体制が「左」だった、という逆転。
投稿者: まきこ | 2005年03月25日 23:29
日時: 2005年03月25日 23:29