みたび、ソフトバンクBBでの個人情報漏洩について。
3月4日に書いたように、この事件及びソフトバンクBBの対応に憤って、Yahoo!オークションに自分の個人情報を出品した人がいる(ちなみにYahoo!オークションの規約では個人情報の出品は禁じられている)。この出品者もlivedoorでブログを運営しているようなので、とりあえずオークション取り消しの記事にトラックバックしておく。むろんシステム使用料の支払いを回避するために終了前に出品者が取り消し措置を取ったわけだが、最終的な入札価格は確か3兆円くらいになっていたはずだ。出品者が取り消す旨を宣言し、「以降入札しないでくれ」と書いたあとの入札はイタズラと解釈するにしても、その時点で入札価格はすでに約45億円に達していた。
出品者は「『ヤフーBB』に個人情報の価値を再認識させるという当初の目的を達した」と書いているが、おおいに疑問だ。そもそも、このオークションでは個人情報の適正価値がまったく判断できない。最終価格の約3兆円というのは上述のとおりイタズラだとしても、取り消し宣言をした時点での約45億円にしても、出品者自身、自分の個人情報にそれだけの価値があるなどとは思っていないだろう。理由はもちろん、その価格では誰も買うはずがないからだ。すると、もっと早い時点でこのオークションは「祭り」になってしまい、個人情報の価値を真剣に考えたものではなくなっていたということになる。では、どの時点からか。その判断は完全に恣意的なものにならざるをえない。「個人情報の価値はこれくらいが適正だろうから、このあたりの入札までは真剣な入札。だから個人情報の適正価値は……」というのでは、むろん循環論法だ。
いや……そもそも、個人情報それ自体に価値があり、値段がつけられるとする発想自体に問題がある。情報それ自体に価値があるのではなく、その情報を活用するビジネスによって、どれだけの利益をあげられるか、その段階に至らなければ金額など出てくる余地はない(その意味では私の3月4日付の記事もナンセンスかもしれない)。ソフトバンクBBがお詫びの印として送る金券の「500円」という金額も、漏洩した個人情報の価値はその程度と判断して決定されたものではないはずだ。そのへんを理解せずに、この金額の見た目の小ささに対して憤るのは滑稽である。