ここ数年、芝居を観たいという情熱がすっかり薄らいでしまった私だが、土曜日は久しぶりに小劇場に行った。2月に自分が音響として参加した公演の役者・照明スタッフが関わっている公演だ。
6日(土)於・王子小劇場、「坊ちゃん狩り」という劇団の公演『典男と樹梨』である。学習院大学シェイクスピア・ドラマ・ソサエティの卒業公演らしい(「坊ちゃん狩り」の旗揚げでもあるのだろうか?)。劇団の出自とタイトルから容易に連想されるとおり、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の設定を現代日本に移した芝居である。
まぁ何というか、こういう翻案というのは『ウェストサイド物語』をはじめ過去にたくさんあるのだろうし、ありきたりといえばありきたりである。この芝居でも、設定を現代日本に移した脚色の点で「そりゃーないんじゃないの?」と思える破綻はいくつかあったように思うし、むろん出演者の大半はプロの役者でもないから、演技の点でも不満がないといえば嘘になる。
だがしかし、2時間に及ぶ上演時間のなかで、この熟知しているはずの物語に、不覚にも私は何度か感動してしまったのだ。「うわ、『ロミオとジュリエット』って、こんないい台詞あったのか!」と原作を読み返したい気になった。
「やっぱりシェイクスピアは偉かった」とか「役者がシェイクスピアの台詞をうまく喋っていた」ということではない(いや、両方とも否定はしないが)。私は常々、台詞を(あるいは物語を)伝えるために役者なり芝居なりがあるのではなく、役者を「見せる」ための仕掛けとして台詞や物語があるのだと思ってきた。
その意味で、今の日本の設定に移植しても役者を「立てる」台詞があるというのは、やはりシェイクスピア作品の力だろうし、またその力を上手く活かしたのは演出の手腕だろう。
冒頭に書いたように知人のツテで、いわば付き合いで観にいった芝居だったのだが、予想外に刺激を受けてしまい、かなり満足……。